ブラックリストの存在

「看護師として働くなら職場は選びましょう」という話がありますが、選びすぎるのも困りもの、という話もあったりします。それだけ聞くと「結局どうすれば良いんだよ!ブラック医療施設に精神を蝕まれる生活を強いられなければならないのか!」と憤慨される方もいらっしゃるかもしれません。しかしそこまでシビアな話ではなく、よほどの事が無い限り一度や二度、細かい境界線はわかりませんが職場を肌に合わないということで変えても今回お話するような問題は起きません。

 今回お話しするのは、業界でまことしやかにささやかれる「ブラックリスト」についてです。ウソか本当かは私自身ハッキリしている訳ではありませんので、信じるかどうかはあなた次第です。現在看護師は地域にもよりますが不足気味で、例えば薬剤師のような売り手市場と言えばそうなのですが、飽和状態でない市場では必ずしも良い商品は出回りません。悪貨が良貨を駆逐する、なんていう故事にもある通り、「悪貨」が出回ってしまうことも往々にしてあるのです。何が言いたいかというと、病院をはじめとする医療施設は看護師を欲しがっている一方で、出来る限り来る看護師は選びたいのです。人間関係が良好でない、コミュニケーションの取りづらい職場は注意、と言われていますが、病院側とてそんな環境の悪い職場を作りたいはずはなく、そのような環境作りばかりが得意なタイプは施設に入れたくないというのが本音です。そのために登場するのが「ブラックリスト」です。繋がりのある医療施設の人事の偉い人はこのブラックリストを共有していて、人格に問題のある人、短期間でコロコロ職場を変えている人はリストの末端に名を連ねる不名誉に与ることになります。
 つまり、コロコロ職場を変える人は「悪い看護師」とみなされてしまう可能性が少なからずある、ということです。状況にもよるので、もしかしたら理不尽な事情でブラックリスト入りしてしまうことも考えられますが、梨の木の下で帽子を直していたら泥棒と間違えられるという中国の(確か中国だったはず……)ことわざにもあり、紛らわしいことはしないに限ります。
 このリストに載ってしまうかも、と思った人はそれが被害妄想の類でないなら気をつける必要があるでしょう。環境にやたらと文句を言い、自分の非を一切認めず「こんな職場辞めてやる」と転職を目論むも、医療施設にマークされてしまい行くあてがない、なんていうのはいくらなんでも無様極まる状況と言わざるを得ないでしょう。辞める前に何かできないか、そこから始めるのが何にしても有用なのかもしれません。